「あの年齢で、あれだけの圧力があるのはスゴイ」 と言ったのは大野均だ。
「自分の立ち位置がしっかり分かっている。賢いし」とは廣瀬俊朗だ。
7月15日から19日まで長野県菅平で行われた日本代表合宿で、ジャパンの重鎮たちを唸らせたのは、6月に20歳になったばかりのHO坂手淳史(帝京大2年)だった。
歴戦のジャパン戦士に混じっても見劣りしない分厚い胸板。重量感のある肉体が、コンタクトシチュエーションでは深く前傾し、相手の体重とスピードに負けない爆弾タックルとなって炸裂する。大野が言った「あの年齢で、あの圧力」である。
逞しいのは身体とプレーだけではない。
鋭い眼光。相手の話を聞くときは一切目を逸らさない。
7月7日、秩父宮ラグビー場で行われた関東大学オールスター戦では、対抗戦選抜を率いた岩出雅之監督が苦笑した。
「他大学の上級生たちが、坂手のことをおもしろがって『態度がでかいぞ』といじるんですが、坂手はいじられながら堂々としている。それを他校の選手も受け入れている。いい空気だと思いました」
弱冠20歳にして、岩のような存在感だ(「だけど、グラウンド外に出ると腰が低いんですよ」と大野)。